プロ目線解説!住宅の基礎の作り方 外周枠組み

外周枠組み

捨てコンが固まったらその上に基礎の外周枠を建てよう。

基礎の面(つら)や外面(そとづら)と呼ばれる。芯より外側のコンクリートの壁。

 

遣り方確認

根切りが終わった後、遣り方を確認するのを忘れずに。

バックホーが歩いたり杭ギリギリを掘ったりして遣り方がずれることがある。

特にバックホーの出入り口の開口はキャタピラに土が押されて杭も押されていることが多い。

開口がある面の全長は必ず確認しよう。

対角や境界からの離れも確認しておこう。

芯釘と外周釘を分ける

遣り方が決まったら外周の印を出そう。

住宅の基礎の場合基礎幅は150㎜が多い。芯の振り分けも75㎜、75㎜が一般的だ。

しかし図面をよく見よう。基礎幅は120㎜、芯振り分け60㎜60㎜や

基礎幅は150㎜だが芯振り分けが外60㎜中90㎜といったケースも少なくはない。

芯から外周までがいくつになるのか断面図から読み取ろう。

画  いろいろな断面図芯振り分け

今遣り方上に打ってある釘は基礎の(芯)である。

その釘から外側に外周の墨を出し釘を打とう。

コツ

芯には芯の印、外周は釘を長くしたりして芯釘と違う物にすると分かり易いぞ!

 

捨てコンの墨を出す

外周釘が打てたら糸を張ろう。

水平器を使って垂直に落とす。

コツ

控え杭を使って水平器を固定する。

写真 水平器墨出し顔出し

 

墨ツボを使って墨を打とう。

 

コツ

カラコと呼ばれる針の部分はコンクリート釘に変えるとコンクリートに打ち込みやすくなるぞ!

墨は多少の水気があっても墨打ちできる物が良いぞ!

 

鋼製型枠 金枠

これぞ住宅の基礎屋さんの道具、金枠。

鋼製型枠やメタル枠、メタルなど呼び方はいろいろある。

メーカーは半永久的に使える耐久性があるとうたっている。

一枚当たりの単価はメーカーやサイズによって変わるが

5,000円~10,000円位はする高価な物になる。

15坪ほどの一般住宅の基礎に使用する枚数を新品で用意するとなると100万円程の設備投資が必要になる。

 

その他、パネコートを使用した木製枠もある。

木枠は形状に応じて加工ができ、材料はホームセンターでも手に入るのでイニシャルコストは安めだ。

使用頻度によるが木なので金枠程の耐久性は無い。

それでも2~3年位はまともに使うことができる。

ここでは(株)フリーパネルの鋼製枠で説明させて頂く。

フリーパネルhp

いろいろな枠の種類がラインナップされているが、山さんがよく使う枠をあげてみよう。

呼名   枠の長さ

600 ー 1820㎜

602 - 1590㎜~1820㎜スライド

452 - 1130㎜~1365㎜スライド

300 - 910㎜

302 - 690㎜~910㎜スライド

150 - 455㎜

152 - 270㎜~455㎜スライド

☆山さんがよく使う枠の高さは450㎜と700㎜だ。

 

 

呼名はメーカーによって違うが長物の600は6尺(1820㎜)に当てはまる。

300は3尺(910㎜)

150は1尺5寸(455㎜)

といった具合だ。

基礎伏図 尺モジュール

「尺なんて分からん」と言われそうだが、住宅の基礎の図面は尺が基本である。

基礎を上から見た図面を【基礎伏図】と呼ぶ。(きそぶせず)

方眼紙のようなマス目一マスを910㎜×910㎜(3尺×3尺)で表記されている図面が多い。これを【尺モジュール】と呼ぶ。

伏図を使って枠を当てはめる

出隅(角)から始めよう。

長物を優先に当てはめよう。

入り隅はスライド枠だ。

1図 外周枠拾い 伏図

セパレーターを打つ

枠を固定する金物を捨てコンに打とう。

セパレーターと呼ばれる金物を半分に切って使う。

 

 

1枚の枠に2本以上のセパで枠の下端を固めよう。セパの穴よりコンクリート釘の傘の方が小さいことがまれにある。これでは固定できないので2本打ったり太い釘を使ったりしてしっかり固定しよう。

枠組み

枠を図面で拾った通りに並べていく。

出隅にはコーナー用の枠を使おう。

芯から外壁までの寸法が75㎜なら150㎜コーナー。

60㎜なら120㎜コーナーを使おう。

コーナー枠を使うことでスライドしない枠が定規になってコーナーからの寸法が一目で分かるようになる。

600なら1820㎜、600と300なら2730㎜、といった具合。

 

枠の黒い面をコンクリートを打つ側に向けて建てて、枠と枠は専用のクリップで固定する。

クリップ固定写真

出隅からスライドしない枠を並べてくると入隅はスライド枠になってくる。

いろいろな枠の当てはめ方があるが、ぶつかる2辺ともスライドにするやり方が枠を拾いやすい。

枠の黒い面は基礎の肌が現れる面だ。

なので丁寧に扱おう。

雑に扱って凹み等があったり、錆が付いていたりすると、そのまま基礎肌に転写されてしまうので気を付けよう。

黒い面にはコンクリート剥離剤を塗ろう。要は油である。

これをきちんと塗っておかないとコンクリート打設後にコンクリートが枠にくっついて剥がしにくくなってしまう。

 

通りを固める

枠が組み上がったら仕上げに固定していこう。

生コンの圧力で枠が動かないように控え杭を打って

万力で枠と固定しよう。

この時、糸を外周の釘に引っかけて外周のラインが分かるようにする。

糸と通りを合わせながら万力を締めていく。水平器で確認しながら固めよう。

確認を忘れずに。

外周の糸と同じ位置に枠が通っているかを確認しよう。

遣り方の外からゴルファーが芝目を読むように(余計分かりにくいか!?)糸を睨もう。

 

 

控え万力写真

 

コツ

枠組みはしっかり固定しないと生コンの圧力に負けて動いてしまう。

枠組み全体に言える事だが枠は下端の固めが重要だ。

生コンに押されて枠が浮けば下から流れ出てしまう。

上よりも下の方が圧力が掛かっている事を肝に命じておこう。

 

パンク写真

 

捨てコンの不陸(デコボコ)によってはセパが枠にあまりかかっていない事がある。

この場合はセパのツメを折り曲げて枠に食わせよう。

枠と捨てコンの隙間があっても、セパに打ってあるコンクリ釘がしっかり効いて抜けなければある程度なら耐えられる。

 

捨てコンをケチらず横着せずにしっかり打つこと(40㎜~50㎜)

捨てコンが薄くては釘が効かないぞ。

 

まとめ

ここでは標準外周で説明してきたが、実際は平場の現場ばかりではない。

車庫や浄化槽が絡めば、その面の外周部を深くする必要がでてくる。

ある程度の深さまではベースと一緒に打つ事になるので、より生コンの圧力がかかる。

耐えられるように枠を固める必要がある。

 

また、さらに深くなると 先にベース付きの布基礎を作って立ち上げ、埋め戻して宅盤を作るという方法等など…

色々な基礎がある。